
ヤマネ
からまつの細い落ち葉が砂利の間にびっしり敷きつまる。
先日、テーブルに飾っていたバラの実の束の、ほとんどの実が一夜のうちに食べつくされて、
赤い実の皮が散乱していました。テーブルには点々模様や、ちいさな箒で掃いたような跡が。
いったい誰が犯人かと、ヒメネズミやヒヨドリや、このあいだ迷い込んで部屋に入ってきたコウモリ、
それから3歳の次男を疑っていました。
次の朝、バケツの底でヤマネの死骸が見つかりました。
まだ子どものようで、テーブルのちいさな箒の跡はふさふさのしっぽを引きずったからでした。
犯人だなんて言って、小さな丸い背中を見ていたら涙がこみ上げてきました。
外に出してあげられたらよかった・・。
亡き骸を、清里のやまねミュージアムに持って行きました。
体重8.6g。この秋に生まれて、もうすぐ冬眠するところだったけれど、
この小ささでは冬を越せなかったと思うと言われました。
ヤマネはねずみやリスの種類ではなく、固いものは苦手だそうです。花の蜜や果物が好きだそうです。
前に道脇のあけびが食べられていたのも、そうだったのかもしれません。
ニホンヤマネ・・・国の天然記念物。日本に数百万年前から棲んでいる生きた化石。
10月30日

森のおとしもの
両手で持ってもずしりと重く、表面はボコボコと硬い。
家の前の林で見つかりました。
自分の頭の上に掲げて、森を駆ける感じを想像してみる。
冷たい風にあたった日の、
大きな相手と戦い突き合わせた日の、
雪の草原を連なって歩いた日の、牡鹿の見た景色はどんなだったか。
毎年生え変わるというから、これは時が来てある日不意に落ちたものかもしれません。
苔むしたやわらかな地面に戻してみると、
舞い散る木の葉と同じく、自然の秩序の美しさの中にありました。
11月1日

冬の入り口
枯葉の積もる森にカサコソ分け入って、子キツネになったような気分の先日の一日。
冬の森は、もう色とりどりの姿では迎えてくれずにだんまりとしているから、
もう少し親しくなりたくて、帰ってから、拾い集めたものを図鑑で調べる。
枯れて朽ちていくものの渋い色や抜けた色、カラカラの軽さ。
瑞々しい命の物語のその後ひとときの姿を、並べたり、眺めたり。
左上から時計回りにウラジロモミ、シシウドの花のあと、ヤシャブシの集合果、ハリギリの葉
ウバユリの種の落ちたあと、上下に並んだカラマツと赤松の松ぼっくり、
大きなヒメマツハダの松ぼっくり
上下に並んだズ ミの赤い実(たぶん)とノリウツギのガク片、何かのつる
12月5日
(清里・キープの森で)

そとは雪
乾いた栗の落ち葉に雪が降ると、
シャラシャラシャラシャラ 庭が鳴ります。
一面真っ白になるまで。
12月16日
